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その日、小学校六年生の僕は一年生の歓迎遠足から帰宅し急いで自転車で友達の家に向かっていた。
いつもなら少しスピードを落とす坂を、その日は全速力で急いだ…
すると、目の前に小さな石があった。
大きさは通常の消しゴムをイメージしてほしい。僕は何気なく石を自転車で踏んだ…
すると、ハンドルが傾き自転車が不安定になり10メートルほど走って横転した。
…ふと起き上がると…
近くに老夫婦がいた。
老夫婦は僕に「大丈夫かい?」と声をかけてきた。
当然ながら大丈夫ですと、返して僕は自転車を押しながら帰っていった…
すると、次第に今の自分の現状が痛みとして伝わってきた…
一本前歯は半分に折れて無くなっており、唇からは大量の出血、足や腕にも擦り傷がたくさんあった。
あまりの痛みに自転車を押すのを断念してその場に自転車を放置してゆっくり歩いて帰っていた。
すると、さっきの老夫婦が頭に浮かんだ…
そして、さらに周りを見た。
そこで、ある事を僕は実感した。
僕は気絶していたんだ…
僕が転んだ時に周りに人はいなかった…
なのに、起きた時には老夫婦がいた車もないのに。
なにより、転んだ時より周りが少し暗かった…
僕は急に怖くなった。
もし、転び方が悪かったら死んでいたんじゃないか?
実際今の俺の体は目に見える範囲だけの怪我だけなのか?
ここで初めて死を意識した。
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