不純と矛盾

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どんなアピールを受けようが、絶対になびいたりしない自信だけはある。 『いっそこの機会に諦めたら?』…って嫌味だったんだけど。 「そう?俺は楽しくて仕方ないけどね。君がどう感じてどう動くのか…恋の駆け引きって極端に言えば、セックスに似てると思わない?」 「………」 絶句。 どうしたらそんな、エロポジティブに持っていけるの? 真顔って事は本気でそう思ってるんだろうけど… もしもーし。お兄さん、頭腐ってますか? ポーカーフェイスなんてとうの昔に崩され、今では怪人にも負けず劣らずの百面相だ。 「今日だって、君がいつもと違うリアクション起こしてくれたおかげで、久し振りにスリリングな体験をさせて貰ったよ。田中が近くにいて君は運が良かったねぇ?」 そして部長はニッコリ。 ーーーんん? その意味深な笑みに、違和感を覚えた。 愛してると宣う相手…婚約者の私が絶体絶命のピンチだったのに、何故嬉しそうな顔をするのか。 テレビのヒーローみたいに颯爽と登場し、かっこ良くスマートに悪党を懲らしめ私達を救出出来たから? …何か違う気がする。 どちらかと言うと…思い通りに事が運び影で高笑いをしている、悪代官のイメージとピッタリ重なった。
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