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嫌な予感。
「まさかとは思うけど…全部あなたが仕組んだの?」
もしも的中していたのなら、私は本気でこの人を軽蔑しただろう。
だけど、
「まさかって何?…俺がわざわざチンピラ雇って、君を危険な目に合わせたって言うの?…見損なわないでもらいたいね。」
思いっきり不愉快そうに刻まれた眉間の皺が、私を安堵させた。
「そ、そうよね。ごめんなさい、今のは忘れて。」
これは失礼過ぎたかと慌てて撤回するも、
「あー…駄目、ショックで心が折れそう。今度始まるプロジェクトも、もうやる気無くなったなぁ…」
完全に拗ねてしまった様子。
う…面倒臭い男ね…
機嫌を取るのは癪でしかないけれど、自分が逆の立場であったなら怒りの余り、一発張っていたかも知れない程の失言だったとは理解している。
「本当にごめんなさい、助けてくれた恩人を疑うなんて…どうかしてるわね、私も。あなたが来てくれなかったら今頃…酷い目に合わされていたかも知れないのに。」
少しオーバーに、シュンと肩を落とし遠慮がちに見上げれば、
「………ホントにそう思ってる?恩着せがましい奴だなぁ、って思ってない?」
細くなった眼から放たれていたのは、粘着性を含んだ視線。
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