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出来るなら、信じたい。
だって…少しばかり裏表がある人だとは思うけど、聖人みたいな人間なんて絶対いないにしても、田中さんまで部長と同類で有って欲しくない…と切に願うから。
それは特別視してる訳じゃなくて彼と過ごした僅かな時間が、そんなに居心地悪く感じなかったという理由だけに過ぎないけれど。
ジトッと睨み、
「ふーん…でも、幼馴染みで一番親しい使用人なんでしょう?どうして田中さんを外したの?」
冷たいトーンで返すと、
「あー…うん、そこはね。その仕事ってのがお袋絡みって、さっきも言ったけど……お袋もあいつもそういう遣り口嫌いだから、協力求めるどころかバレたら衝突するの目に見えてたし。」
「………」
自分の行いは親からも友からも反対されるような、常軌を逸しているものだと理解した上での手段を敢えて取ったのだと、アッサリきっぱり豪語する。
…良かった、厄介なお馬鹿さんが増えなくて。
本人について述べるのは今更として、親族と友人は一応常識ある大人だったと知り、取り敢えずは胸を撫で下ろす。
「じゃあ、もう一つ聞くけど。私を見張らせていたにしても、他所でディナーをしていた筈のあなたが、直ぐに駆け付けられたのはどうしてかしら?前もって企んでいたにしても、私が何処へ行くのかなんて決まっていないし、あの辺には高級なお店もそうなかった筈だわ。」
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