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そう言われれば…先に現れた柴田君は、あそこで何をしていたのか気にはなる。
まだ仕事の途中だったのか私用だったのか。
何れにせよ、私が襲われたあの場所は会社から一駅離れてない所だったけど、以前聞いた柴田君の家は反対方向の三駅先だと言っていたっけ。
えっと…柴田君の今日のスケジュールは…確か菊川さんと、外回りだったハズ。
でも営業は顧客を回れば良いというものじゃない。
空いた時間を活用し、自分の足で新規のお客様を増やすのも仕事なのだ。
それは個々の能力にもよるけど、自社取扱商品を売り込む際相手の都合が第一だから、勤務時間外の活動も余儀無くされる事もある。
「彼はあなたとは違うわ。」
「差別酷くない?」
「自業自得でしょ。自分の胸に聞いてみたら?」
キッパリ言い切って寝室らしき部屋へ戻り、自分の携帯を探す。
軽く見渡すとベッド傍にあるサイドテーブルの上に私のバッグが置いて有り、中を漁って見付け出した。
「それでどうするの?」
背後からの声に、
「一応、本人にかけてみるのよ。その様子だと、あなたも柴田君がどうなったのか知らないんでしょう?」
多少苛つきながら答え画面を見る。
「……あ……」
するとそこには電話とメールの着信が数件有り、送り主を見て顔面蒼白になった。
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