9827人が本棚に入れています
本棚に追加
二人は反りが合わない程度だと思っていたし、人の良い彼が部長をそこまで嫌っていたとは心外でもあった。
けれど、馴れ合えと言っている訳ではない。
あくまで社会人としての自覚の問題だ。
私だって…この自己中大王を認知したくは無いけど。
「馬鹿言ってないで、この電話が終わったら登録なさい。これは必要事項なの。上司としての命令よ、いい?」
未来ある柴田君の為にも、こう答えるのが正解だと思う。
「…主任の命令なら仕方ないスけど…登録はしても使わないスからね。」
「またそういう事言う…全くもう…」
どうしてそこまで片意地を張り続けるのか、一度聞いてみたいところだけど…それは後回しでいい。
「そんな事より」
「そんな事ねぇ…」
小さな呟きはいつの間にか、ベッドへ寝転び目を閉じた部長で、
「ふん、誰の電話使ってるんだか。」
棘のある言い方をして、反対側へ寝返りを打ち背を向けた。
…本当に面倒な男…
ほとほと呆れ、溜息ひとつ。
「だったらあなたが話す?」
「…嫌だね、何で俺が。」
「なら黙ってて。」
「………」
部長はそっぽを向いたまま、本当に黙り込んでしまった。
それなら最初から、余計な口出しをしないで欲しいものだ。
「…主任?」
「あ、ごめんなさい。こっちの話しよ。」
「部長、スか?」
「ええ、ちょっとね。」
「…そりゃそうスよね、部長の携帯からって事は、一晩ずっと一緒にいたって事だろうし…」
最初のコメントを投稿しよう!