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一人暮らしだと言っていたから、不足しているモノもあるだろうと単純に考えて…
あら?でも、彼女がいたらマズくない?
一番肝心な問題が抜け落ちていた事に気付き、
「あ、ちょっと待って。柴田君、あなた…独りだったかしら?」
「…はい?」
至極当然な問い掛けに、柴田君の語尾上がった。
「えーと、だからね?あなたは今独りなのかって聞いてるの。」
「?…一人スけど?うちには誰も来てないっスよ?」
「じゃなくて…付き合ってる彼女はいるのか聞いてるのだけど。」
噛み合っていなかった会話に溜め息を零せば、
「君の聞き方が紛らわしいんだよ。…て言うか、それってプライバシーの侵害じゃない?」
器用に首だけを捻じり、仏頂面した部長がジッと睨んでいる。
…どの口が言ってるのかしら?寝違えで筋でも痛めればいいんだわ、この犯罪者め。
と、宣ってやりたい気持ちを飲み込んだ。
「う、うるさいわね。火のない所に煙は立たないって言うでしょ?女絡みで揉めるのは、あなたでもう懲り懲りなのよ。」
柴田君に聞こえないよう耳から離したスマホを、自分の鳩尾付近に押し当て嫌味を含め答えると、
「…俺より君の方が炎上しかねないけどね。」
さらりと返され、一瞬意味がわからなかった。
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