告白と繋縛

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便利な時代になったものだわ… 目についたコンビニで食材を調達するついでに『ある物』を購入し…電車移動では無くタクシーを選択した。 何度か手を上げてやっと捉えた空車の文字。 『どうぞ』と言って愛想笑いをする五十代位の男性運転手に、目的地を告げる。 電車だったら五駅分程。 タクシーだとこの出費は痛いけれど、新しく買い直すヒールに比べればまだマシだ。 時々バックミラー越しに視線を感じ、昨日より皺の入ったスーツが朝帰りを主張しているようで少し恥ずかしかった。 窓側に肩肘の先を乗せ頬杖を付き、眠った振りをする。 薄目で外を眺めている内に緑が増え、低い建物ばかりの景観が続く。 …ふうん…都心部から少し離れただけなのに、こんなに雰囲気が違うのね… ただぼんやりと視界に映していた。 「着きましたよ、お客さん。……お客さーん?」 「…ん…あっ、はい、すみません。」 小さなボリュームでかけっ放しのラジオやゆったりとした安全運転に、ついうっかりうたた寝をしていたようだ。 他人の前で気を抜くなんて滅多にないのに…それもこれも部長のせいだと呆けた頭で悪態をつく。 お金を払うと『ありがとうございました』の後に『お疲れ様です』と言われたのを、『どうも、お世話になりました』と苦笑いで受け流す。 「さて…」 タクシーが去ってからバッグとコンビニ袋を持ち直し、教えられた住所にそびえ立つ…風情のある小さなマンションを見上げた。
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