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「主任…電話で、俺の彼女がどうとか言ってましたよね。」
「ええ、言ったけど?」
「俺、今は部屋に上げるような…そういう人いないって言ったの、覚えてます?」
そりゃ…今朝方の事だもの。
「年寄り扱いしないでくれる?」
話の意図が掴めず、内心ちょっと首を捻った。
「じゃあ、どうして作らないのか理由…わかりますか?」
「?…仕事で余裕がないから、とか?」
「違うっス。」
「んー……トラウマ的な何かかしら?」
「それもハズレっス。」
「えー…」
正直他人の恋愛事情なんて全く興味ないのに、まだクイズ形式を続けるつもりだろうか?
「それじゃあ……同性が好きな人?」
「ぶふっ!ーーーーあっ!?す、すんませんっ!!」
折角真面目に答えているのに、何故か今度は柴田君がお茶を噴き出し、突然顔面に横殴りの大雨が。
「ゲホッ、主任が変な事言うからっスよっ!今タオル持って来ますから!」
「…………」
最近どうも、こういう役回りが多いような気がする。
慌てて立ち上がり、脱衣所らしき場所へ向かった柴田君を薄目で見送りながら、滴り落ちてゆく水滴を拭う。
直ぐにバタバタと戻って来た足音がして、
「これっ、一回も使ってないんでどうぞ!」
「あ、ありが」
「ホンット、すんませんっした!汚いモン飛ばしちゃって!」
「っ!?」
振り返った拍子、押し当てられたタオルに息が詰まった。
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