告白と繋縛

18/46
前へ
/326ページ
次へ
…………はい? 耳を疑い、柴田君を凝視する。 それでも案外軽薄さを感じないのは、内から滲み出る人柄の良さに尽きると思う、けど。 計算高い訳じゃない分、部長とは違う意味での居心地の悪さを感じた。 「やめてくれない?この歳でスッピンが可愛いとか…嫌味にしか聞こえないわ。」 眉を顰める私に、 「えー、嘘じゃないスよ?そりゃあ、化粧してんのも勿論綺麗っスけど…やっぱ素顔のが想像よりかもっと可愛いかったってのに、猛烈感動しまくりっス。ホント予想以上にめちゃくちゃ可愛いっスね、主任。」 更に連呼し追い打ちをかけて来る。 良く恥ずかし気も無く…聞いてるこっちがむず痒い。 どう反応すれば差し障りがないのだろうかと考えて、 「……お世辞はもういいから、洗面所貸して貰えないかしら?」 ここは一先ず、化粧直しへ逃げる事にした。 有無を言わさない内に、サッとバッグを掴み立ち上がる。 すると、 「…そのままでいて下さい。お願いですから俺の前では、素顔の貴女で…」 「あっ、」 大きな身体が前を遮って、片腕で胸の中に抱き寄せられた。 やんわりと、まるで壊れものを扱うかのように…とても優しく。
/326ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9829人が本棚に入れています
本棚に追加