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まさか…あの重度のストーカー男じゃあるまいし…
だけど、私に近付く男がロクでもない人格者なのは、嫌という程経験して来たのだから疑いたくもなる。
身体目当てのサディスト達に、今も昔も貪られ続けているのだから。
「…何か言って下さい、主任……いつもみたいに詰ったり罵ったり…抵抗してくれないと俺…調子に乗っちゃいますよ…?」
「あ…」
一段と腕に力が篭り、胸を圧迫されて息苦しさに襲われた。
何と答えればこの先も仕事に影響せず、付き合っていけるのか…
熱烈な告白を受けている筈なのに、こんな時にまで打算的な考えばかりを巡らせてしまう私も、大概捻くれた女だなと思う反面、僅かながらに引っ掛かりを覚えた。
身長差が有り過ぎて、窮屈な位に頭を下げ首筋に触れた唇。
「…んっ…」
押し付けられたまま動く気配がないそれは、自制と戦い躊躇しているようだった。
「ちょ…っと、待っ…」
「…ダメ、もう待ちません。ちゃんと答えてくれるまでは…絶対離しませんよ?」
拘束から逃れるべく身を捩ってはみたものの、力が緩む気配はない。
重苦しい空気に、諦めにも似た溜息が漏れた。
柴田君はいい子だし、有能な部下の一人だ。
だからこそ傷付けたくないと切実に思う。
普段はつい、荒い口調で粗野な態度を取ってしまっていたけれど、あれはスキンシップの一環であって…だって、柴田君も嬉しそうに受け答えしてたから……って……
………あら?
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