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…痛そう…
潔いと言うか、これだから憎めないと言うか…
口調が元に戻った事にもホッとする。
「…何度謝られたところで、なかった事には出来ないのよ。それはわかるわよね?」
「…はい。」
一方的にぶつけられた想いが、誠実と節度の範囲を越えていれば尚更だ。
私達は巨大な組織にたまたま偶然居合わせた、先輩と後輩であり上司と部下に過ぎない。
従来の日本では本来、充分に訴えられる内容でもあると認識するべき行為なのだから、大いに反省して貰わなければ。
「見損なった…とまではいかないけど、貴方に対する個人的な評価が下がったのは事実よ。もし貴方が私の信頼を取り戻したいと思うなら、これから先少しずつでも誠意を見せてごらんなさい。そうでなければ…」
「…カタい…」
「何か言った?」
「いえ、何でもないス。わかりました、努力しまっス。」
人の気も知らないで、敬礼ポーズで真面目振って茶化さないで欲しい。
「それで?どうして貴方のマゾ性癖が私のせいなの?」
回りくどいのはやめてズバッと真相に迫ると、あからさまに目を泳がせる柴田君。
「…ど直球っスね…もう少しこう、オブラートに包んだモノの言い方、出来ないんスか?」
「今、そんな優しさが必要だとは思えないけど。」
「いや、まあ…そういう容赦のない所がいいっちゃいいんス。」
「…どっちなのよ?」
「じゃあ、キツめの尋問で。」
「………」
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