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あー…そういう奴いるわね…思い通りになるまで絡んで来る奴が。
その粘りと労力を、何故仕事に活かせないのか不思議でならない。
となると、だ。
自分でも安易に想像はつく。
私の性格上…覚えてなくても、結構キツめに説教したんじゃないかって。
「そこで遂に主任もブッチーン。」
…やっぱり。
「例によって目だけが笑ってない笑顔で、こうビシッと。」
例によってって、どの例よ?失礼ね。
「『ミルク臭いお子様が、お酒なんてまだ早過ぎるんじゃないかしら?オムツが取れてから出直してらっしゃいな。』」
「……それ、誰の真似なの?」
「ええー?主任スよ、主任。」
中指を眉間にクイッと当てたのは多分、眼鏡のズレを直した仕草なんだろうけど…私、眼鏡はかけていないし、そのキュー◯ィー◯ニー的なオーバーアクションの指差しポーズも絶対やっていないと断言出来る。
少し高めに出された声色も、正直似てないし耳障りだわ。
「ーーね?カッコ良くないスか!?もー俺達、滅茶苦茶シビレちゃって!」
ミルクにオムツって…確かに、嫌味を通り越して物凄くサドっぽいけれど。
「どこが?」
興奮し始めた柴田君にすかさず突っ込んで、ふと思った。
「ねぇ…取引き先の重役の息子さんにそんな事言ったのに、後々問題にならなかった…わよね?」
どうでもいい存在だったから記憶から削除されているにしても、大事になれば絶対に忘れたりはしない筈。
なのに覚えていないという事は…何事も起こらなかったから?
それは何故?
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