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だけど偶然と呼ぶには、沢山の疑問だらけで。
「…参ったわ…降参よ。」
「ふっふーん、驚きました?俺の深い愛の為せる技っスよ。例えどんな変装して人混みに紛れてても、主任なら直ぐに見つけられますからね~俺は。」
得意げになられても、私からしてその執着心は恐怖でしかないってわからないものかしら?
「…それで?」
「はい?」
「だからそれがどうだって言うの?私がアフターをどう過ごそうと自由でしょう?そんなもので何を強請ろうって?」
きっと彼は…最後の切り札を大事に隠し持っている筈。
これ以上長引かすのは時間の無駄だわ。
挑発するように見下せば、柴田君はクシャリと幼い笑みを見せ…
「強請るだなんて人聞きが悪いなぁ。…ただね?自分の惚れたヒトが、頻繁にホテル通いしてんのは嫌だなって思ったのと…マズく無いですか?部長と婚約しても、あのヒトとまだ関係を続けてるのは…ね?」
ーーー否。
邪気に満ちた悪魔の微笑みを浮かべて…豹変していた。
…ああ…終わった…
撃墜。撃沈。陥落。
この時の私は恐らく、敗者の如く瞳の中に色濃い絶望を映し出していただろう。
そこまで知られていた理由なんて聞かなくてもわかるし、聞きたくも無い。
…部長、認めたくは無いけれど、全部貴方の読み通りだったわ。
柴田君は…私をずっと、付け狙っていたのね…
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