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どの面下げて言ってるんだか…
「…知ってはいたけどあなた、相当歪んでるわね。」
「ありがとう、最高の褒め言葉だよ。」
「喜ばないで、結構本気で気持ち悪いから。」
「やだなぁ…君を想えばこそ、このゆとりの無さも楽しめるのに。俺はさ…カッコ悪くったっていいんだ。ずっと、側にいられるなら。」
「…少しくらいプライベートな時間が欲しいものだわ。そういう約束だったでしょう?」
「明日、一時間前に迎えに行くよ。それで事情聴取が終わったら、君の手料理をご馳走になろうかな。」
…この男…人の話を聞いてない…
「…確かに約束はしたけど…」
誓約内容は完全に反故の状態なのに、自分の約束ばかりを主張され程々厭気がさす。
聞こえよがしに、大きな溜息を漏らしてやった。
「あ、でも食材が揃ってないから先に買物へ行かなきゃね。」
だけど結局それも通じず終い。
「茶碗蒸し作れる?トロットロの親子丼とか。」
勝手に連ねたリクエストは柴田君と同様に、何故か卵料理ばかり。
それが彼のブームなのか、たまたま二人の好みが似ているのか…
どうやら私の周りの男共に関しては、卵好きの比率が高いらしい。
「心配しなくても美味い飯を食わせてくれたら、直ぐに返してあげるから。まぁ上司の立場からの見解としては、仕事に影響されても困る訳だしね。…皆に振り分けるとは言え、あの間抜けの穴埋めも楽じゃないでしょ?」
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