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全てにおいて素っ気無く返すと、
「ふふっ、そのつれなさが堪らなくそそるんだよねぇ。」
何故だか嬉しそうに微笑む部長。
…だから、どうしてそこで喜ぶの?
今に始まった事じゃないけれど、どれだけ嫌味を言おうが冷たくあしらおうが物ともせず、逆にこちらを不快にする話術は別の意味で称賛に値する。
「あら、ごめんなさい。愛想良く出来なくて。」
「それが良いんだよ。上っ面だけの付き合いなんて、商談相手と会社の連中だけで充分でしょ?」
二人の関係性が確立されたものであるなら、御尤もな御意見だけど…
馬鹿な人。
私だって貴方との付き合いは、偽りと打算だらけの脆すぎるハリボテと同じよ。
そして貴方も…ここにいる私が『本物』だと思っているなら、勘違いも甚だしいわ。
誰にも明かした事のない、本当の私はきっと誰より…
「…見る目がないわね……」
「え?」
「何でもないわ。」
昨日の出来事を振り返り、自分も人の事を言ってる場合かと苦笑い。
人は本性を知られたくないから、幾つもの仮面を被り騙し合う。
この世は、自己保身に優れた醜いモンスターの巣窟だ。
弱者は強者に踏み躙られるだけ。
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