告白と繋縛

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「…くっさ…」 「カー香水キツい?窓開ける?」 わかっていてはぐらかす、その態度が気に食わないのよ。 「……そうじゃなくて。今迄そんな感じの歯の浮く様な台詞に、女の子達は騙されて来たんだろうなって呆れただけ。」 「ハハッ、気になるんだ。」 「なりません。」 そこはすかさず否定する。 「……ねえ、悪に加担したら身を滅ぼすのが定石だって知ってる?」 「君が戦隊ヒーローものに興味があったなんて意外だね。今度映画でも観に行こうか?親子連れに混ざって。」 「…茶化さないで。」 フッと笑った部長は、 「何が悪かは其々受け止め方の問題じゃない?全ての悪が全員にとって、本物の悪だとは限らないでしょ。鼠小僧も然り石川五右衛門も然り…ね?」 冗談めかして爽やかなウィンクを飛ばす。 それを密かに素早く避けたイメージを浮かべながら、プイと外へ顔を背けた。 「例えが古臭いのよ、若年寄り。」 「知識が豊富って言ってくれる?因みに好きなのは真田幸村と黒田官兵衛」 「聞いてないから。」 珍しく本気で忠告してあげようと思ったこっちがアホらしい。 どうでもいい無駄口を叩いている間にアパートへ到着し… 「じゃあ、ゆっくり休んで。…今日は美味しいご飯、有難う。」 「あーハイハイ、お粗末様で…」 運転席から伸びた手が、シートベルトを外しにかかった隙を突いて首の付け根を捉える。 「ちょ、…」 目を見開いたまま部長の唇が重なり、軽いリップ音が静かな車内に響いた。 「おやすみのキス位は許してよ。」 「…嘘つきね。」 「これは罪のない可愛い嘘です。…ホントはね、押し倒したいの相当我慢してるんだよ、俺。」 「そう、じゃ最後まで頑張って耐えなさい。」
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