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いつもより三十分も遅く目覚めた朝…
重い身体をフル稼働し取るものも取らず身支度だけして、何とかギリギリセーフで朝礼に間に合った。
「相川君、遅い。」
それなのにコッソリ入った所を目敏く見つけるや否や、わざわざ注目を集めるように声をかける部長。
ーー誰のせいで目覚めが悪かったと思ってるのよ!?
ベッドに入ってからも寝付けなかったのは、話しをぶった切り中途半端なままで逃げられたせいだ。
「…ハイ、スミマセン。」
一応謝りはしたけど、朝礼の間中はずっと睨み付けて呪いの念を送っていたのに、部長は最後まで完全無視を貫き通した。
そんな中…業務以外の報告が一つ。
「えー…気付いてる者もいると思うが、柴田は休みだ。週末に怪我をしてな、大事をとって暫く休ませる事にした。」
「マジですか!?」
「入院してるんですか!?」
「だったらお見舞いにいかなきゃっ!」
「やだ、私も私も~!」
同じチームの仲間が本人と、仕事の進行具合やノルマを心配して慌てふためくのは解る。
だけどそれ以上に、営業二課のみならず社内全体が騒然となるのは偏に、有能なイケメンの一人が拝めなくなると悲しむ女子が多いのが、主だった理由なんだろう。
「部長っ、柴田さんのお見舞いに行かれるなら、ご一緒させて下さい!」
「あっ!抜けがけなんてズルい!」
「「私達も!!」」
勝手に入院したと決め付けて騒ぐ子達を底レベルだとは思いながらも、ちゃっかり部長に取り入ろうとしてるあたりはまるでハイエナのようだと呆れた。
どうしてその無駄なパワーを、仕事に活かせないものなのかしらねぇ…
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