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一般論では、女はリアリストで男はロマンチストだと良く言われる。
だから、二人の反応が両極端なのも仕方ないのよねぇ…
かく言う私もリアリストで、あのふざけたイカレ男を叩きのめしてやりたいのは山々だけれど。
実際に戦力の欠けたこの現状での仕返しは、自分達の首をも絞め兼ねないし。
「まぁ…要するにあれだけ優秀な人でも一皮剥けば、癖のある変人って事よ。」
「…本当に人騒がせな…」
「そう目くじら立てるなって。…社内に広まる前で良かったじゃないか。俺達にだけ秘密だって言ってたし、これからはその手の話題は適当に流しとけばいいんだからさ。」
流石宇土君。
見事なまでの大人対応ね。
宇土君は部長や柴田君の影に隠れがちだが、一番人間が出来ている様に思う。
「そうして貰えれば助かるわ。思い込みで大きな成果がもたらされるなら、チームとしても有り難い話しでしょう?」
「…利害で言えばそうですけど…何か女として、心情的には納得したくない感じです。」
軽く唇を突き出し、むくれた顔をする菊川さんに心の中で同意する。
でも、私達はあの人の一族が支配する大会社に勤める、あの人の直属の部下。
そして、近々辞める予定の私とは違い、二人にはまだまだ先がある。
「だから許さなくてもいいって言ったじゃないの。ただ、やっぱり部長は仕事のデキる人だし、この位の事で関係を拗らせるのは勿体ないわ。部長個人の性格はさて置き、折角他の人達より近くにいるのだもの。少しずつでも会社人としてのスキルを学ばせて貰いなさい。ね?」
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