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笑みを浮かべウィンクを飛ばすと、二人は何故か少し顔を赤らめて…
「し、しょうがないですね。主任の顔に免じて今回は我慢しときます。」
「いやー…俺はそこまで怒ってないですし…」
備え付けのナプキンでテーブルを意味もなく拭き始めたり、また残りのうどんを啜り出した。
無理矢理丸め込んだ感はあっても、一応は一安心てとこかしら。
余計な話しで時間に追われ、丼の残りは皆んなで慌てて掻き込み、また会社へと引き返す。
結局のところ、文句を言いたい相手とはすれ違いで、直ぐに顔を合わせる事はなかったものの…
本人に自覚はなくても、このフォローは大きな貸しにしておくつもり。
今日中に連絡を入れて、彼を責めたいのは山々ではあるけれど。
最初からずっと良いように振り回されているのだから、コレを逆手に取って今度は私の方が優位に立ってやろうかと、つまらない企てを思い描けばつい頬も緩む。
それはあくまでも、私が会社を去るまでか彼と別れるのが先かという、期間限定の中での細やかな仕返しだ。
勿論、仕事には支障が出ない程度でね?
身体の関係を持った男達の中で、どんな理由であるにせよ、ほんの少しでも次に会うのが楽しみだと思えたは、これが初めてかも知れない。
荒みきっていた以前の私からすれば、想像もつかない変貌ぶりだった。
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