嘘と誠

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仕事が〝出来ない〟〝やらない〟お飾りOLを撃退し、深く息を吐く。 余計な時間と体力を使わされたものだわ。 先程の資料を開き見ながら、見積りデータが送られて来たかパソコンをチェックする。 「んーー…有力候補は愛染染の方か。渋いわね……で、卸値はと…」 メールを開いて目を通してから、カーソルを流し脳内でファイルデータと照らし合わせた。 「…あ、…ここ、6じゃなくて8になってるわ。もー…何の凡ミスよ、ったく…」 打ち直しをして送り返し、続けて電話をしようと受話器へ手を伸ばした時、 「ーーお疲れ様。」 不意に軽く肩を叩かれた。 手元には、某メーカーの甘い甘いミルクティーがいつの間にか置かれている。 「あっ…お疲れ、様で…」 ハッと見上げた時には既に遅く、部長の背中は遠去かり、課長の机へ一直線に向かっていた。 ビジネス用のバッグから何やら資料が出され、もう話し始めて振り向きもしない。 いつもパリッとしたスーツの背中が皺になっているのは、長時間座って話し込んでいたか、何度も座る場面があった証拠。 近頃まともに会話をする暇もなく、横顔すら見る暇もない部長は、この会社で誰より一番忙しい人だろう…けど。 こういう気遣いは、相変わらず心憎いったら…
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