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「着いたぞ」
そう言われると、俵太はタクシーを降りる。
目隠しを外されると、そこの景色は見覚えのない風景が広がっていた。誘拐にしては穏やかと言うか予想していたよりも「良い」ところに連れて来られた印象である。
周りを見渡すと綺麗に連なる山々や大きな草原、、、
錆びれた案内板には古ぼけた文字で「イトムカ鉱山」と書かれている。どこだイトムカ鉱山とは。
そして、その横には大きな吊り橋があった。
しかしその吊り橋は一見、普通の吊り橋であるがよく見ると普通ではない。
まず、その数。
吊り橋と言えば大きなものが一本、小さなものでも一本で十分である。しかし、その吊り橋は五本あり、橋上に数字が1、2、3、4、、、と順番に振られていた。
「ここでなにするんだ」
俵太がそう言うとタクシーの運転手は答えた。
「あとでわかりますので、少しお待ちください」
俵太が待っていると、その場に俵太が乗っていたタクシーと似たタクシーが10台程やって来て、俵太と同じように目隠しされた者たちがやってきた。
騒いでいたものたちが少し落ち着いた頃、どこからともなく声が聞こえた。
「さあみなさんこちらへ来ていただきましょう」
その声がする方へ行ってみると、それは小さな人形からだった。
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