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「お前のそれはただの偽善だ。殺人鬼を助ける、確かにそいつの命は助かる。だが、残された遺族はどうなる?
大事な人が殺された悲しみは消えない。一生心に傷を負って生きて行くだろう。
もしかしたら復讐するかもしれない」
「復讐なんて空しくなるだけだ!説得する!死んだ人もそんなことは望まない筈だって!!」
「何故、望まないと言える?望んでいるかもしれないだろ?もし、説得が成功したとしよう。だが、さっきも言ったが心の傷は一生消えない、お前は一生その傷を負っていろと遺族に言ってるのと同じなんだ。
つまりお前は殺された側でなく殺した側を守るって言ってるんだぞ?お前は悲しい思いをした遺族でなく、犯罪者を守るってことだ。
俺はそんなお前を勇者と認めない。ただの自己満足してる偽善者だ。世界中の奴等が認めても俺だけはお前を否定する」
「そんな…ちがっ、僕は…僕は…」
勇者は地面に膝をつき、両手で頭を抱えブツブツ呟いている。
「あなた何訳の分からないこと言ってるんですか!?」
「お前なんかに認められなくてもリュウは勇者よ!」
「リュウ君はすごいんだからぁ!」
「………」
ビッチ共が何か言ってきたがシカトする。相手にする価値もない。
クソが!気分わりぃ。今日はもう帰ろう、どーせ禁忌召喚の騒ぎで解散になるだろ。
俺は一人グラウンドを後にした。
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