Act.12

29/75
前へ
/1817ページ
次へ
「トウヤさまは、サインOKなんですか?」 「勿論私はOKだよ」 「頂けるんですか!?」 「うん」 トウカが返事をすると、すかさず鞄から取り出したのは、カフェの特集記事。 そんなもんまで持ち歩いてんのか!?と仰天しそうになった。 「お願いします!!」 「はーい。あなたが第一号だよ~」 笑顔で雑誌を受け取ると、指定された箇所にトウカはサインを書いて「リリって雑誌でモデルする事になったんで、応援ヨロシクね☆」と、ちゃっかり宣伝までしていた。 「はい!応援します!!ミヤビさまは?どこで活躍されてるんですか?」 「私は活躍しません!」 ピシャリと言い切ると、その人は釈然としない様子で、私の顔を見つめていた。 「トウヤ、そろそろ出ようや」 何だかいたたまれなくなってきたから、退席を持ちかけた。 私達がその場を去るまで、手を振り続けていたその人を私は振り返る事無く、店を出た。 「あ。みやさんと合流したら、いいとこ連れてってやるよ」 「いいとこ?」 ニヤニヤした顔して、何か企んでんの丸分かりなトウカ。
/1817ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1168人が本棚に入れています
本棚に追加