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工藤さん。懐かしい。
実はなんと、ナナちゃんの彼氏。
ただし、訳あってそれを知ってるのはごく一部の人のみ。
顔を上げ、私に気付いた工藤さん、椅子から立ち上がりこちらに来てくれた。
「お久しぶりだね」
「久し振りです。これ、お願いします」
「はいはーい。今回配達係、櫻井さんの番だったの?」
「そうなんです」
「じゃあ、預かるね」
伝票と事前にデータを送っておいた経理報告書が合ってるか、照らし合わせてからでないと承認印を捺して貰えないので、時間を潰すしかない。
それが分かっているだけに、コソッと耳打ちで「ナナんとこいっといでよ」と言ってくれた。
しかし、ナナちゃんとて仕事中。
邪魔出来ない。
とりあえず自販機コーナーに行き、そこに設置されたソファーに腰掛けた。
ココアを飲みたくなって、ボタンを押そうとした時だった。
「あっ!!見つけたー!」と言う、急過ぎる声に手元が狂った。
『はぅあ!?隣の生姜湯、押しちゃった……』
悲しげに振り返り、呼ばれた方を確認すると、ナナちゃんがいた。
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