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――
「ナナちゃん……」
泣きそうな声で、相手の名を呟く。
『選りに選って生姜湯……』
と思うと、泣けてくるんやもん。
私を確認したナナちゃんは、私の前に立ち「生姜湯?渋いの選ぶね」と、私の手にある飲み物に感想をくれた。
「違うしな?ナナちゃんが急に呼んだから、手元狂ってんしな?」
「そうなのー?あは。ごめんね?」
「もぅ、いいよ。勿体ないから飲むよ」
「それより、ちょっと聞きたい事あるんだよね」
そう言うナナちゃんの顔と声が、いつもと違った。
あれ?私なんかしたかな?
そう感じずにはいられなかった。
怒ってるようにも見えるし……
様子を窺いながら、場所を移動するナナちゃんについて行った。
ピークを過ぎて、ガラガラになった二階の食堂。
オシャレな白の丸テーブルがあったり、テラスもあったり。
全面ガラス張りなので、行き交う社員の姿もよく見える。
食堂とは言うが、完全に洒落たカフェレストラン。
ここは会社のオアシス。
ナナちゃんは迷わず、一番奥の窓際を選択して腰を下ろした。
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