Act.12

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―― 「ナナちゃん……」 泣きそうな声で、相手の名を呟く。 『選りに選って生姜湯……』 と思うと、泣けてくるんやもん。 私を確認したナナちゃんは、私の前に立ち「生姜湯?渋いの選ぶね」と、私の手にある飲み物に感想をくれた。 「違うしな?ナナちゃんが急に呼んだから、手元狂ってんしな?」 「そうなのー?あは。ごめんね?」 「もぅ、いいよ。勿体ないから飲むよ」 「それより、ちょっと聞きたい事あるんだよね」 そう言うナナちゃんの顔と声が、いつもと違った。 あれ?私なんかしたかな? そう感じずにはいられなかった。 怒ってるようにも見えるし…… 様子を窺いながら、場所を移動するナナちゃんについて行った。 ピークを過ぎて、ガラガラになった二階の食堂。 オシャレな白の丸テーブルがあったり、テラスもあったり。 全面ガラス張りなので、行き交う社員の姿もよく見える。 食堂とは言うが、完全に洒落たカフェレストラン。 ここは会社のオアシス。 ナナちゃんは迷わず、一番奥の窓際を選択して腰を下ろした。
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