Act.12

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こんな時、さゆりならきっと堂々と、何でもなかったかのように「彼女やけどな」とか言えちゃってるんやろうなぁ。 さゆりにも、多少の負い目や引け目はあるんやろうけど、大事な時にはちゃんと自分の口で、相手に伝える努力はしている。 私も、この恋愛の道を選んだからには、ちゃんと自分の口から大事な人には伝えなくちゃ。 「賛否、ある事やから……ナナちゃんがどう思ってるかは……」 聞くのが怖いけど…… 「わからへんけど。実は……うちがずっと好きやった人は同性で……あの……。い、言えなくてごめんなさい!!」 一度も相手の目を見れなかったが、自分の口で伝えた。 もうかなりの逃げ腰で、今すぐにでも、走って逃げたい。 ここには、私を理解してくれる友達もいなければ、擁護してくれる人もいない。 今までは、環境に恵まれ過ぎていて、当たり前に受け止めてくれる人や、受け入れてくれる人が多かったし、いつも誰かが助けてくれていた。 今は、違うんだなぁ。 一対一で、さゆりの事も殆ど何も知らない人に、私はカミングアウトしたんだ。
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