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勿論そこに立ってたその人を、私が知ってる筈もなく。
「えっと……」
「私、前からテラ化粧品愛用してて。特集記事見た時からずっとファンなんです!」
頭の中で鐘が響き渡った気分だった。
テラ化粧品って、小幡さんの勤め先の名前やん。
「ハチ公前で偶然見かけて、付いて来てしまったんです」
そんな所から気付かれてた!?
てか、付けられてた!?
「今までずっと見てたんですか?」
「はい。もぅ運命的な出逢いじゃないですか?スゴい偶然ですよね!ポスターも毎日持ち歩いてます!サイン下さい!」
「ご……ゴメンナサイ。私はちょっと……受け付けてなくて……」
「あっ!?トウヤさま!キャーッ!!」
人の話は半分程しか聞かず、悲鳴と同時に泣き出してしまわれた。
「凄いツーショットぉぉ。髪切られたんですねぇぇ分からなかったですぅーー」
ご、号泣……。
「トウヤ。サインしたれよ……」
「いや、お前のが欲しいって言ったろ?この人は(笑)」
戸惑う私が面白いらしく、トウカは笑ってあしらっていた。
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