Act.12

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勿論そこに立ってたその人を、私が知ってる筈もなく。 「えっと……」 「私、前からテラ化粧品愛用してて。特集記事見た時からずっとファンなんです!」 頭の中で鐘が響き渡った気分だった。 テラ化粧品って、小幡さんの勤め先の名前やん。 「ハチ公前で偶然見かけて、付いて来てしまったんです」 そんな所から気付かれてた!? てか、付けられてた!? 「今までずっと見てたんですか?」 「はい。もぅ運命的な出逢いじゃないですか?スゴい偶然ですよね!ポスターも毎日持ち歩いてます!サイン下さい!」 「ご……ゴメンナサイ。私はちょっと……受け付けてなくて……」 「あっ!?トウヤさま!キャーッ!!」 人の話は半分程しか聞かず、悲鳴と同時に泣き出してしまわれた。 「凄いツーショットぉぉ。髪切られたんですねぇぇ分からなかったですぅーー」 ご、号泣……。 「トウヤ。サインしたれよ……」 「いや、お前のが欲しいって言ったろ?この人は(笑)」 戸惑う私が面白いらしく、トウカは笑ってあしらっていた。
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