Act.12

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「ココ」 と、言われた建物を見た。 全体的に白を基調にした内装のせいか、とてもクリーンな感じがして、一見しただけでは入り辛い雰囲気。 しかも、客が一人もいない! 更に入り難いわ。 しかし、気にせず自動ドアの前に立ち、サッサと中に入っていく二人。 こう言う時、物怖じしない性格の人と一緒だと、心強いわぁ(ちょっと皮肉)。 「いらっしゃいませー!!」 広い店内に従業員しかいないから、数人の美声が店中に響き渡っていた。 「こんにちは」と、トウヤさんが挨拶しに行くと、すぐに察しが付いた店員さん。 「あらぁ。ようこそですー。また来て下さったんですね」 「今日はね、もう一人も連れてきたんですよ」 そう言って、“ミヤビ”を呼び寄せるトウヤさん。 「初めまして」 「わー!!本物のミヤビ様っ!!」 「いや、さま……は、ちょっと……。そんな大した人間じゃないんで」 謙遜と言うよりは、本当に嫌なんやろうな……様呼びされんの。 若干顔ひきつってるもんな……。 「あ、で。こっちの人が、カメラマンさん」
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