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優子「あの・・・・明日香さん・・・・
また、アメリカから帰ってきたら、もう一回バトル、してくれませんか?」
優子の思いが、一言一言、胸から口へ、出されゆく。
明日香は、泣きじゃくった顔を、優子のほうに向け、話を聞く。
明日香「アメリカから帰ってきても、私のこれからは忙しい。
結局、私はこのまま、車から離れた生活をするしか・・・・」
明日香の無念を、理解しつつも、それを遮ってでも言わなければならないことが、優子のうちにはあった。
優子「いえ、私は、いつでも待ってます。
私は、NSXとともに、これからも走り続けるつもりです。
明日香さん、どんなに忙しくても、私は、明日香さんが空いた時間を使って、私の目の前に現れるのを、いつでも、待ってます。」
この一言一言。
確信をもっていっている。
まるで、ミライが見えているように。
これからも、走り続ける、生き残ろうとする意志が。
NSXと、走り続けたい。
明日香にとっても、この一言を言われてでも、車から離れなければならないという思考を変えない、というわけにはいかなかった。
明日香の顔に、ついにいつもの顔が戻った。
明日香「・・・・わかった。
また、お前の前に現れるように、空き時間は一応作れるように努力はする。
ありがとな・・・・・」
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その1週間後・・・・・
将生「行っちまったな・・・・・」
空港の屋上で、飛行機を見送る将生、優子、麻紀。
明日香と陸がアメリカへと旅立つのを、見送りに来ていた。
麻紀「にしても、最後に明日香の質問に対する答え、いかにも優子ちゃんらしかったね。」
そうね、と笑顔で答える優子。
別れ際・・・・・
明日香が、最後に聞いたこと。
明日香「最後に聞く。
お前のその速さは、どこから来てるんだ?」
優子は、決まっているかのように、クールな笑みを浮かべて、こう答えた。
優子「自分は速いとは思ってないのですが、あえて言えば、
『NSXを信じる気持ち』
です。
信じていれば、NSXは私に必ず答えてくれる。
1度裏切られたけど、それでも、私は、この車を信じていますから。」
・・・・・
将生「確かに、お前、俺よりもNSXが好きだもんな。」
麻紀「ちょっと、それじゃすねてるみたいじゃないですか、マシンに嫉妬とかだっさ。」
将生「こんのクッソガキ!」
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