act.12 last chance

23/24
前へ
/233ページ
次へ
優子「あの・・・・明日香さん・・・・ また、アメリカから帰ってきたら、もう一回バトル、してくれませんか?」 優子の思いが、一言一言、胸から口へ、出されゆく。 明日香は、泣きじゃくった顔を、優子のほうに向け、話を聞く。 明日香「アメリカから帰ってきても、私のこれからは忙しい。 結局、私はこのまま、車から離れた生活をするしか・・・・」 明日香の無念を、理解しつつも、それを遮ってでも言わなければならないことが、優子のうちにはあった。 優子「いえ、私は、いつでも待ってます。 私は、NSXとともに、これからも走り続けるつもりです。 明日香さん、どんなに忙しくても、私は、明日香さんが空いた時間を使って、私の目の前に現れるのを、いつでも、待ってます。」 この一言一言。 確信をもっていっている。 まるで、ミライが見えているように。 これからも、走り続ける、生き残ろうとする意志が。 NSXと、走り続けたい。 明日香にとっても、この一言を言われてでも、車から離れなければならないという思考を変えない、というわけにはいかなかった。 明日香の顔に、ついにいつもの顔が戻った。 明日香「・・・・わかった。 また、お前の前に現れるように、空き時間は一応作れるように努力はする。 ありがとな・・・・・」 _________________________________ その1週間後・・・・・ 将生「行っちまったな・・・・・」 空港の屋上で、飛行機を見送る将生、優子、麻紀。 明日香と陸がアメリカへと旅立つのを、見送りに来ていた。 麻紀「にしても、最後に明日香の質問に対する答え、いかにも優子ちゃんらしかったね。」 そうね、と笑顔で答える優子。 別れ際・・・・・ 明日香が、最後に聞いたこと。 明日香「最後に聞く。 お前のその速さは、どこから来てるんだ?」 優子は、決まっているかのように、クールな笑みを浮かべて、こう答えた。 優子「自分は速いとは思ってないのですが、あえて言えば、 『NSXを信じる気持ち』 です。 信じていれば、NSXは私に必ず答えてくれる。 1度裏切られたけど、それでも、私は、この車を信じていますから。」 ・・・・・ 将生「確かに、お前、俺よりもNSXが好きだもんな。」 麻紀「ちょっと、それじゃすねてるみたいじゃないですか、マシンに嫉妬とかだっさ。」 将生「こんのクッソガキ!」
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加