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優子「うそ・・・・でしょ・・・」
負ける。
NSXの状態も悪くない。
いやむしろ、最高すぎるぐらいだ。
なのに、あの前の車は、加速をやめない。
いや、加速なんかじゃない。
まるで、幻影が尾を引いているかのように見える。
消えては前へ現れ、また消えては前へ、 目の前から遠ざかって行く。
速すぎるなんてものじゃない。
今見えているものは、幻影でしかない。
破壊されて行く、闘争心。
植え付けられる、恐怖。
負ける・・・・・
優子「はっ!!!」
隣には、気がつけば舞がいる。
舞の顔には、心配の2文字が刻まれているような表情があった。
舞「寝汗、すごいけど、大丈夫??」
自分の姿を確認する。
さっきまで握っていたハンドルが、今ではシャープペンシルと消しゴムを握り、ペダル部分を踏んでいたはずが、自分のカバンを踏んでいた。
さらに、目の前には、今日のゼミ終わりに提出するはずのレポートが、よだれでグシャグシャになっていた。
優子「・・・・・・」
終わった。
レポート提出が、できない。
教授「おはよう、優子君。
お目覚めが良いようで。」
笑顔の教授。
裏には、明らかに怒りがあるのが見え見え。
優子「・・・・ごめんなさい」
その後、優子が解放されたのはゼミ終了30分後だった。
優子「散々だよ、全く。」
舞「にしても、今日の優子はひどかったよ。
だって、睡眠中に『まさか!』とか叫んで皆が驚いてたし、教授は顔をしかめるし、授業のムードは最悪だったよ。」
と言いつつも、思い出すだけで吹き出しそうに、口を抑える。
優子「・・・・・ごめん」
ここ数日間の睡眠時間、一日あたり1時間。
ゼミのレポートをやらなければならないが、NSXと走りたい。
その衝動を抑えなきゃ、抑えなきゃとは思っている。
だが、思えば思うほど、走りたい気持ちは抑えられないもの。
しかし、レジュメに手を抜くわけにはいかない。
NSXにGETRIDEして3時間ぐらい走れば、午前2時。
2時からレジュメを作成し始めて、うたた寝しながら続ければ、気がついた時にはもう午前6時。
支度を始めて、朝ごはんを食べ、午前8時には家を出る。
帰ったらバイト。バイトが終われば・・・というローテーションを繰り返し、今に至る。
無理がある。バイトもリーダー務めてる以上は休むわけにはいかないし、かといってNSXと走っていたいし、学校の授業も手を抜くわけには・・・・
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