act.13 黒き薔薇、生誕

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撃墜、された。 白煙が上がり、オーバーヒートした車を見やる、彼。 車のことを考えず、ただ目の前の薔薇をひたすら追っていたいという欲望に負けてしまった。 ??「凹むわ・・・」 優子もそれに気づいたのか、相手の元へ向かう。 車の正体、それは優子も僅かながら記憶の細片として覚えていたものだった。 イノセントブルーマイカに染め上げられた、RX-7。 エアロも、あの頃と一切変わった様子がない。 そこにいたFDのオーナーは、色黒で30代ぐらいの男だった。 ??「よう、黒薔薇さん。 そのNSX、すごいペイントを入れたようだけど、あの頃と変わんないな。」 まさか・・・ 優子「もしかして、3年前ぐらいに・・・」 男「あぁ、多分そうかもな。 皇帝を狙ったつもりが、いつの間にかあんたのNSXが一番に遠く行っちまったのをよく覚えてるよ。 実力は昔以上だな。 で、名前は?」 優子「北条優子です。」 無表情で冷静な答え方。 あの人にそっくりだな・・・ 男「北条優子・・・・ね・・・ あぁ、俺はこーゆーもんだ、よろしく頼むね。」 渡された名刺。 榊原病院 内科医 笹川啓一 とある。 笹川「まあ、以後お見知り置き下され。 で、レッカー車を頼みたいんだが・・・・」 男はゴソゴソとポケットから何かを取り出そうとするが、なかなかモノが出てこない。 男「あれ? ケータイが出てこない・・・」 胸ポケットにケータイがあるのを気付かずに、ズボンのポケットだけを探し回る彼。 大丈夫なのかな、この人、とつくづく思う、優子がいた。 そして、優子の視線は、完全に胸ポケットに行っていた。 笹川「ん? どしたの? ・・・・・あ、あったわ、ごめんよ」 携帯をようやく探し当てた笹川は、すぐに連絡を入れる。 笹川「親父! 今からレッカー車引っ張って来てくれよ。 ・・・・うん、そう、やっちまったわ。 あ、あと一人客もいるから、茶だしといて。 ・・・うん、頼むわ。」 一つのバトルが終わり、静寂が湾岸線を包む。 深夜の首都高に、珍しく車一台と来ない。 その中で、しばらくしてやってきた1台のレッカー車。 おんぼろで、何台も引っ張ってきた、という感じの、歴史あるたたずまいが、祖のレッカー車にはあった。 その中から一人、年季のある、50代ぐらいの白髭を蓄えた男が、こちらへとやってくる。
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