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降りてきた瞬間に一瞬刺さる、NSXへの視線。
その顔の中に、一瞬鬼が見えたような気がしたが、彼は何事もなかったかのように、息子の下へと駆け寄る。
??「おーい、大丈夫かえ??
今から引っ張ってあげるでの。」
笹川「助かったよ、親父。
あ、この人が今日のお客さん、北条さん。」
どうも、と頭を下げる。
向けられる視線。
さっきの優しいおじいさんの顔が、こっちを見るたび真剣でいかつい顔を向けてくる。
しばらくその顔を向けた後だった。
低いトーンで、無感情に言い放つ。
??「おい、啓一、こいつと絡むな。
お前、忘れたのか。
こいつが乗っている車が、どんな車だったのかを。」
啓一の笑顔も消え去り、優子に対し向けられたのは鋭い眼差しだった。
笹川「あぁ、忘れちゃいないよ。
いつかは俺が葬り去る。
だが、今はお客さんだ、そんなカリカリすんじゃねぇよ、親父。」
今でも消し去りたい、そんな思いが、ジンジンと伝わってくる。
とにかく、ただ言えるのは怖い。
それだけだ。
この人も、本物の一人。
首都高統一も、まだまだ壁が高い。
そう感じざるを得ないぐらいの気迫を、彼は持っていた。
??「チッ、まぁ、良い。
クソ気にくわねぇが、NSX引っさげてついて来い。
お茶程度なら、だしてやっから。」
笹川のお父さんの目。
黒き薔薇を極端に憎み、忌み嫌う、そんな目をしていた。
元々そんな車ではあるが、そんなレベルの眼ではない。
この車との間に、何かあったに違いない。
相棒のことは私のことでもあるから、何があったのか知っておかなければならない。
そんな興味から、優子にしても、ついていく理由があったため、ついていくことにした。
雨が降り始める中、レッカー車に乗りこむ2人。
故障車のFDを率いて、そして、後ろにNSXを引き連れていく。
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麻紀「どうしてもいるの!!」
ゴウ「冗談じゃねぇ!
これ以上はこいつの全体的バランスからみても無理だ!!
やってもみろ、一気にバランバランになっぞ!!」
ガレージ内で響き渡る、ゴウと麻紀の怒号。
麻紀の中に何があったのかはわからないが、急にパワーがもっとほしいと言い出し、ずっと言うことを聞かない。
これ以上パワーを上げてしまえば、エンジンルームの拡張が必要になり重量が増えるうえ、ボディが圧倒的についていけなくなる。
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