揺らぎ

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次の瞬間、不気味な警報サイレンの爆音が町中に鳴り響いた。その音にビクッと驚き、リョウキは部屋の窓を開けて外を確認した。 見えるのは、さっきまでの日常とは正反対の光景だった。町が大量の車と人で溢れている。人々の目は血走っている。狂って叫んでいるものもいる。どこかでバンッ!という衝撃音が聞こえる。車が事故したのだろうか。小さな子供が泣いているのが見える。親はどうしたんだろう、、 親、、リョウキはハッと気がついた。とたんに絶望感に包まれる。なんとしても家族に会いたいと思った。とにかくこれだけは成し遂げないといけないと思った。おそらく電車での移動は絶望的だろう。自転車は持ってない、、なら走って行くしかないか、、家から中心街まではすごく遠いというわけではない。1時間以内ならなんとか、、リョウキはスマホを取り出し、父の番号に電話をかけた。しかし繋がらない。通話中か?ならメールでどうだ。「そっちに行く。待ってて」と打ち込み送信する。メールは繋がったようだ。それを確認するとリョウキはすぐに支度に取り掛かり、スマホとそのバッテリー、少しの食料、飲料といった自分なりに必要最低限と考えられるものをバックパックに突っ込み急いで家を出た。コンクール会場のある街までの道は知っている。
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