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ここは日本のど真ん中に存在する裄御(ゆきみ)神社。この神社の跡取り息子ならぬ跡取り娘である 紅 珊瑚(くれない さんご)は見習い巫女としての修行の日々を送っていた。
「だって今回の大厄払いを無事に終えれば、改めて跡取りとして認められて本格的な修行に入れるんでしょ?頑張らないわけにはいかないじゃない」
珊瑚は右の手のひらをきつく握りしめ、それをじっと見つめた。
その眼差しは強い決意に道溢れていた。
と、ふいにその眼が柔らかく細められる。
「わぁっ………!月白色の雪…」
花が綻ぶように笑った。
「ッ………!?」
浅葱は驚いたように眼を見張ると、そのままふぃっと珊瑚から眼を逸らした。
「ねぇ、いつの間にこんなに積もったのかなぁ?私、全然気づかなかったよ! …浅葱どうしたの ?」
「ッ………なんでもない。…そんなことより雪に気づかなかったのは、お前のそのバカみたいな集中力のせいだ」
「あー!浅葱がバカって言ったー!」
「本当の事を言ったまでだ」
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