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「……てる?死んでる?ねぇ」
朦朧とした意識のまま僕の耳が何かの音を拾う。
「死んでるかな…うーん…どうしよ…」
また聞こえた。まだ幼い感じの少女の声だ。返事をしようとしたが頭がフラフラしていて動けない。
「もう…しょうがないなぁ…やってみよ」
何を?と問い返そうにも答える元気が出ない。どうにか目だけを開けると、何故か腕を振りかぶった人の姿が見…
「えい」
「ぐぼぇっ!?」
鳩尾に拳を叩き込まれた。
衝撃で一気に意識が覚醒する。
「おー、生きてた。死にそうだけど」
「…誰のせいだと思ってんだ…つか誰だよ」
若干吐きそうになりながらも文句を言ってやる。
「しょーがないでしょ?これが一番簡単。それより君はなんて名前なの?」
「名前を聞くならまず自分からが礼儀だろう」
ムカついたので嫌みを吐いてやると少女は首を傾げて
「あれれ?大草原のど真ん中で行き倒れてた見ず知らずの君を助けてあげた恩人の私の質問に答えられないのかな?」
「ぐ…」
見事に言い負かされた。だが確かに助けられたのは事実である。僕は実に悔しい。
「…僕はブローム。ラーシュ・ブローム」
「へぇ。苗字からなんて変な自己紹介だね?まぁいいや。私はロザリー・レディプスっていうんだよ」
「苗字からでも名前からでもいいだろうが…」
というか愛着無いし!
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