新しい世界に行ってみた

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僕の名前は横井直広。 どこにでもいる非日常に憧れるだけの平凡な高校生だ。 そんな僕の目の前にさっきから神を名乗るおっさんが新世界に行ってみないか、なんて言ってきている。 殴るべきか、逃げるべきか。 現在非常に迷っています。 「君が非日常に憧れているのは分かっているんだ!!惰性で生きてるような気がしてつまらないんだろう?平凡に人生を終わらせるのは嫌なんだろう?俺…いや私にはお見通しなんだ」 確かに図星ではあるが。 なんかむかつくし殴ろうかな。 というか一人称迷うなよという。 「新世界ではこの世界の人間が描くファンタジーの世界そのものだ。非常に刺激的だぞ?君だって英雄にでもなんでもなれるんだ」 英雄…ねぇ。 あらやだかっこいい響き。安直ながらかっこいい… そして今僕は、誘われて不良に手を染めてしまう人の気持ちが分かった気がする。 「僕は…僕は新世界に行きたいです」 「よっしゃこれで怒られな…じゃなくて。よく決断したな。さぁ、私に着いてくるが良い」 「えっ、何今の一言?え?え??」 「もう遅い!!さぁ行くぞ」 自称神の言葉とともに視界が暗くなる。 どうやら僕は不審者の罠にまんまとはめられてしまったようだ。 薄れていく意識の中で「彼女作りたかったな…」とだけ思いつつ、僕の意識は無くなった。
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