エピローグ

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  「その諸々の辺りが、気になりますね」  そう言ったのは、テレビマルチ報道局長の森永 美由紀であった。  いつかの高級寿司店。  そのカウンターに、美由紀は酒出を招待した。  酒出の心遣いにより、テレビマルチは決定的瞬間を映像に納めた。そして、逮捕の瞬間を生放送で放映が出来た。  この時の視聴率は、報道番組としては開局以来の数字を叩き出したとか。  これは、そのお礼の一席という訳だ。  そして、美由紀の好奇心を含んだ眼差しに。酒出は、寿司を喉に詰まらせんばかりに動揺する。それを、酒で流し込みながらも切り返した。 「止めてくれよ。この話しをテレビ番組で持ち出されたら、それこそ懲戒処分になっちまう」 「冗談です。あくまでも、今日はお礼ですから」 「まったく、頼むぜ」  それからの会話は、事件後に取材された世間の様子について、美由紀が報告していく形となった。
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