エピローグ

7/10
前へ
/569ページ
次へ
   しばらくの間、沈黙の中での食事が続く。  そんな中、美由紀は考える。  結局のところ、七年前の事件がすべての事の発端である。その事件の誤認がなければ、今回の事件は発生しなかった。  その事件に何故、酒出は関わらなかったのか。  酔いも手伝って、美由紀は沈黙を破って酒出に質問した。 「俺だって、県内の全部の事件を担当する訳じゃねぇぞ」 「だけど、酒出さんだったら。捜査の誤認なんて……」 「そう言ってくれるのはありがたい。だが、あのヤマを担当するのは俺には不可能だ」 「どうして?」 「おいっ、忘れたのか。七年前だぞ」 「あっ……」  美由紀は、そう言われて瞬時に思い出した。  七年前、茂原署管内で事件が発生する数日前。都内江戸川区と、千葉県内浦安市内で連続殺人が発生。酒出は、その事件を担当していたのだ。  よって、酒出に担当するのは不可能だったのだ。
/569ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2281人が本棚に入れています
本棚に追加