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そして美由紀もまた、その事件を取材しているキャスターだった。それが、二人の出会いでもあったのだ。
それから七年が過ぎ、二人が再会した場所は、七年前の因縁が絡んだ事件の渦中であった。
それすらも、因縁なのか。
「そうですね、酒出さんには不可能でした。でもやっぱり、酒出さんがいたらと考えずにはいられません」
「あれは、初動捜査で誤認するよう仕掛けられたんだ。別に、俺がいたとしてもな……」
「全部の刑事が、酒出さんみたいだったらいいのに」
美由紀は、それ相応に酔っていた。
酔っているからこそ出た、本音であり本心である。優秀な刑事が全国にいたならば、犯罪は減るとでも思っているのか。いや、美由紀は思っているのだろう。
「酒出さんも、弟子をとったらどうですぅ?」
「おいっ、だいぶ酔ってるな」
「酔ってますよぉ。あんな事件なんて、二度とゴメンですから」
「弟子か……」
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