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酒出の頭に、何故か酒口の顔が浮かび、どん底まで気が滅入る。美由紀の話しでは無いが、酒口のような刑事ばかりならは日本は破滅だ。
ならば、本当に弟子をとるべきか。
それを思うと、酒口が思い浮かぶ。もしかしたら、優秀な刑事を育てるより。駄目な刑事を、それなりに育てるべきと感じているのかもしれない。
やる気があり、最低レベルの刑事である事。それを、一刑事にどれだけできるのか。
「へっ、ガラじゃねぇな」
酒出は、手にした酒を一気に煽った。
美由紀は、そんな横顔を見ながら酔いで意識が飛ぶのを必死で繋ぎ止める。そして、もう一つ。どうしても、聞きたかった質問をぶつける。
「七年前の江戸川と浦安の事件。まだ、解決してませんよね?」
「あぁ、解決なんざしてねぇな」
「どうなんです?」
「俺が手掛けて、唯一と言っていい。未解決の事件だが、別に諦めた訳じゃねぇさ」
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