第一章 爆弾

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   イタズラに、事件解決を先伸ばしする事にもなりかねない。  早期解決は、警察の総意である。そこで柿崎は、酒出が別の意味で興味をくすぐるような話題を持ち出した。 「では、爆弾はどうです?」 「爆弾が、どうしたって」 「どうして爆発物を、遠隔操作方式の爆弾にしたのかという事です」 「それこそ、分からんよ。爆弾は、俺の専門外だからな」  爆発物に関して、確かに柿崎は違和感を感じていた。だが、酒出は興味を示そうとしない。  それでは、困るのだ。  冷静沈着、クールに見られる柿崎である。そんな彼ですら、焦っていた。それは、保身の為ではない。  彼は、純粋に早期解決を望んでいるからである。  だが、酒出の気持ちは動かなかった。      
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