第二章 説得

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             1    酒口 孝也巡査は、県警本部へと呼ばれた。  千葉北署刑事課の面々は、刑事課長を筆頭に彼が処分される為に呼ばれたと思った。中でも、北方などは「クビかもな」と彼を冷やかし、酒口を送り出した程。  だが、呼ばれたのは松本刑事もである。  先日の酒口の迷子騒ぎは、県警に伝わっていない筈。だから、松本も呼ばれたなら別件だと言う話しもある。  もしも、酒口一人ならばシャレにならない話しだ。  それほどまでに、最近の酒口の勤務態度は酷いもの。それが、県警に伝わっていても不思議ではないからだ。  そして、県警の捜査本部。  柿崎警視の前で、酒口たち二人は緊張し体を強張らせている。  これまでの事件で、柿崎とは顔を合わせ会話もしている。そうは言っても、所轄の巡査と県警の警視。本来は、天地ほどの隔たりがあるからだろう。  勿論、役職上の話しではあるのだが。
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