第二章 説得

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   柿崎の期待を裏切るくらいなら、初めから引き受けない方がいいだろう。  そして、本来の仕事である刑事としての職務を全うし。何なら今回の事件も、自分が解決すると進言しようか。  酒口は、そこまで考えた。 「警視、やります」 「えぇっ、松本さん?」 「私たちで、酒出警部補を説得してみます。ですから、警部補と組ませていただけませんか?」 「松本巡査。そうですか、やってくれますか」  酒口は、自分の進言を引っ込めざるを得なかった。まさか、この状況で「自分が解決する」など。口が裂けても、言えよう筈が無い。  その程度は、酒口でも分かる事である。  こうなったら、腹をくくるしかないと酒口も決意した。 「あの、警視。それで、酒出さんは今どちらに」 「それが、申し訳ないのですが、行方不明なのですよ。まったく、どこにいるのやら」  柿崎は、そう言って表情を歪める。
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