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柿崎の期待を裏切るくらいなら、初めから引き受けない方がいいだろう。
そして、本来の仕事である刑事としての職務を全うし。何なら今回の事件も、自分が解決すると進言しようか。
酒口は、そこまで考えた。
「警視、やります」
「えぇっ、松本さん?」
「私たちで、酒出警部補を説得してみます。ですから、警部補と組ませていただけませんか?」
「松本巡査。そうですか、やってくれますか」
酒口は、自分の進言を引っ込めざるを得なかった。まさか、この状況で「自分が解決する」など。口が裂けても、言えよう筈が無い。
その程度は、酒口でも分かる事である。
こうなったら、腹をくくるしかないと酒口も決意した。
「あの、警視。それで、酒出さんは今どちらに」
「それが、申し訳ないのですが、行方不明なのですよ。まったく、どこにいるのやら」
柿崎は、そう言って表情を歪める。
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