第二章 説得

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   酒口も松本も、酒出という人物をある程度知ってはいる。だが柿崎に、そこまで言わせる程という認識は無かった。目茶苦茶な刑事であるのは、十分に分かっているのだが。  そこで柿崎は、二人に依頼内容を追加する。 「申し訳ないですが、酒出警部補を探し出し。その上で、説得していただきたいのです」 「はぁ、分かりました」  柿崎が探し出せないものを、所轄署の刑事が探し出せるのだろうか。そんな思いはあったが、警視に口答えする勇気もなく、ただ二人は頷いた。  そこに、一人の刑事が飛び込んでくる。 「警視。柿崎警視は、いらっしゃいますか」  その彼は完全に取り乱しており、柿崎を室内に発見するのに数秒を要した。そして、柿崎の前に辿り着く。 「警視。例の犯人から、新たな脅迫メールが届きました」 「また、柴国不動産ですか?」 「いえ、品川のアルファホテルです。それで、警視庁から問い合わせが」
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