第二章 説得

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  「警視庁……」  柴国不動産の事件は、当然の事ながら警視庁にも届いている。  脅迫メールに、あの事件の犯人だと書かれていたとしたら。警視庁から、問い合わせが来たとしても不思議ではない。いや、実際に書かれていたのだろう。 「警視……」  凍り付く柿崎に、酒口が遠慮がちに声をかけてみる。だがその呼びかけに、柿崎は何の反応もしなかった。  あってはならない、第二の事件が発生しようとしている。もしも、これで被害者が出たならば。警察の信用は、完全に失墜しかねない。  そこには、自身の保身の気持ちなど微塵も無かった。  それを見て、室内にいた全員が気を引き締める。  そして、気持ちを一つにしていた。      
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