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「警視庁……」
柴国不動産の事件は、当然の事ながら警視庁にも届いている。
脅迫メールに、あの事件の犯人だと書かれていたとしたら。警視庁から、問い合わせが来たとしても不思議ではない。いや、実際に書かれていたのだろう。
「警視……」
凍り付く柿崎に、酒口が遠慮がちに声をかけてみる。だがその呼びかけに、柿崎は何の反応もしなかった。
あってはならない、第二の事件が発生しようとしている。もしも、これで被害者が出たならば。警察の信用は、完全に失墜しかねない。
そこには、自身の保身の気持ちなど微塵も無かった。
それを見て、室内にいた全員が気を引き締める。
そして、気持ちを一つにしていた。
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