第二章 説得

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   それをチェックしていた事務員の女性は、ただちに総支配人に報告した。 「脅迫メールだと?」 「あの、ニュースになっている事件と、同じ犯人ではないでしょうか」 「馬鹿な……」  総支配人の伊藤 幸雄。  彼は、事務員の女性の報告を、鼻で笑い飛ばそうとして言葉を失った。「何で、当ホテルが……」伊藤は、そう言うつもりだった。  だが、先日の千葉の不動産会社は、良からぬ噂が週刊誌に書かれたという。アルファホテルにも、そのような事実があったのだ。それを、信じたとしたら。  とにかく、メールの内容をチェックしてみる。  内容は、このようなものであった。 “先日千葉県で発生した、不動産会社の爆破事件を覚えているだろう? 本日、そちらのウエディングチャペルと、パーティーフロアに爆弾を仕掛けた。午後二時までに、現金で一億円を用意しろ。尚、分かっているとは思うが、警察への連絡。
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