第二章 説得

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  「すぐに、お客さまに避難していただいた方が……」 「それは、待ってもらえませんかね」 「何故ですか、刑事さん」 「そうすれば、すぐに爆破されます」  犯人側からの要求には、避難を禁ずるような事は記載されていない。だが、結婚式の参加者が建物外に出れば、それは結婚式の中止を意味する。  警視庁の警部の言う通り、爆破されてしまう可能性が高い。 「じゃあ、どうするんです?」 「落ち着いて下さい。こんな時だからこそ、みなさんの協力が必要なのです」  警視庁の警部は、一同に対して深々と頭を下げた。  このような状況で高圧的に命令をしたり、横柄な態度を取ったりする。そんな事をすれば、協力など得られないと知っているのだ。  そうまでしても、スタッフ側の反応は決して良いものとは言えなかった。 「そんな事を、急に言われましても私たちには……」 「そもそも、それは警察の仕事でしょう」
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