第二章 説得

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  「我々素人に、何が出来ると言うのですか?」  不安を露にする者。  不満をぶつけて来る者。  声を荒げる者。  いつ爆発するか分からない恐怖の中、必死に己を維持して様々な反応をする。どれも、当然の反応だといえよう。  だが、ホテル内の事については、スタッフに頼らざるを得ない。  警部は、一同に深々と再び頭を下げた。  犯人側には悟られず。結婚式場と、パーティーフロアーにいる客。それを、せめて別の階に避難させられないかと。スタッフたちは、その話しに混乱してしまう。  警察の言う事ももっともだが。そんなに都合のいい方法があったなら、既に誰かが提案している筈。更には、この恐怖の中で良い案など出せる筈がないと。 「あの、あれは使えませんでしょうか?」  そう言って申し訳なさそうに手を上げたのは、ホテルのコンシェルジュであった。  一斉に、全員の視線が集中する。
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