第二章 説得

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   捜査員の撤退まで見ても、十五分である。捜査員が正体を見抜かれるような、ヘマは絶対に侵していない。このメールは、犯人からの要求だと判断した。  事務員が、警部の指示でメールを開いて、その内容を音読する。 「警察に通報したな。交渉は、決裂だ。GM……」  次の瞬間、爆発音と振動が全員を絶望の底へと落とし込んだ。  警部が、絶句したまま立ち尽くす。  爆発音は微妙にズレがあり、全部で三回だったように感じられた。  最初に動いたのは、総支配人の伊藤だった。  警備室に連絡し、防犯カメラの映像。それを、総支配人室のパソコンに転送するよう指示する。  だが、爆破されたフロアの映像は、カメラが爆発の衝撃で破壊され、そこまでしか映っていない。  また、破壊されなかったカメラの映像は、爆炎と煙で視界が遮られてしまっている。それで、現場の様子など確認出来る状態では無い。
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